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5月, 2018の投稿を表示しています

日本のITサービスが世界で戦うための戦略 その1:英語軸①

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ずっと悲観的な投稿ばかりしてきましたが、私が考える世界でたたかうための処方箋を共有します。実際に実践して成果をあげている内容ですので、むちゃくちゃズレてることは無いと思います。タイムマシン経営が成立しないIT系サービスへの処方箋です。なぜタイムマシンが通用しないのかは、『 「大谷翔平くん」が日本のITサービスを殺す 』を読んでください。 一番大事にしていることは「英語で日本人を攻める」という点です。 日本語のサイトは世界的にみると無いに等しい インターネットが普及した現在では、世界で最新情報を拾えます。 ITサービス、特にB2B系サービスは、世界から試そうとする人が出てきます。しかし、そのためには「そのサービスが理解できること」が前提です。 いままで、ラオス語、スペイン語、フランス語、ドイツ語で書かれたウェブサイトを読んだことありますか?あるいは、ベトナム語やスペイン語でGoogle検索したことありますか? ほとんどの日本人は「ない」と答えます。フォントを入れてないので、検索ワードの入力すら出来ないです。 ただし、英語だけは例外です。英語なら検索したことやサイトを読んだこともあると思います。Appleの英語サイトやAmazon USなどを見たことがある人は、確実にベトナム語より多いはずです。 英語から他言語への翻訳精度が比較的高いことも一因です。 つまり、日本語でどんなに情報をみがいても、日本人以外にとっては「無いに等しい」状況なのです。日本人以外にとっては試す前の問題で、存在してないのです。 ほとんどの日本サービスのサイトは、日本語がバッチリ用意されていて、英語版はあれば良い方です。例えば、ご存じの方も多い「 宅ふぁいる便 」。サービス内容は「メールで送れない重いファイルをおくりたい」という普遍的なニーズにささっているのですが、残念ながら世界には知られていません。なぜなら、日本語しかないから。どんなにアンテナの高い外国人でも、存在に気づかないものは試せません。 英語のない「宅ふぁいる便」サイト 日本発世界へでは間に合わない ITサービスは、インターネットがあって文字が読めれば、どんどん類似のサービスが出てきます。タイムマシンが通用しない世界で、日本で成功→世界への道の

OHTANIが日本のITサービスを殺す

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「日本で成功したから、次は海外に」 大谷翔平さんのようなスポーツ界や、任天堂や日清といった一部の産業などでは、よく聞くフレーズです。日本で成功してからメジャーに渡る、これが今やプロ野球界の常識です。しかし、この考えはITサービスにおいては非常に危険です。むしろ、害しかないと思います。 一風堂のラーメンは、味わうことだけでも難しい。パクるのはもっと難しい。 野球やサッカーはもちろんのこと、食品産業、コンテンツ産業などは、そのワザや味や著作権をマネすることは難しいため、サービスの競争優位性は維持されます。また、そうしたワザや味や著作権は、その国以外の地域から楽しむことが難しいのが現状です。 日本にしか『一風堂』がなければ、ベトナムでその味を楽しむことは不可能です。食べなければ、それが本当に美味いのかはわかりません。また、『一風堂』のラーメンは1回食べただけでパクれるほど簡単な味ではありません。本場『一風堂』のラーメンを繰り返し味わえる環境になければ、パクることのスタートラインにもたてません。たとえ、毎日食べることが出来ても、味という無形のものをパクるのは難易度の高いワザです。 このように、競争優位性がコピーしにくいモノやサービスは、日本での成功を待っても機を逃すことはありません。しかし、ITサービスは大きく異なります。 あじわうことも、パクることも簡単なITサービス。 現在、ほとんどのスタートアップ企業は、母国語化されていないサービスを使っています。Slack、Redmine、Zapier、Appear-in、Amazon Web Service、Google Cloudなど、英語のガイドを読みながらサービスを組み上げたり、プロジェクトを管理したりしています。 つまり、『一風堂』のラーメンとは真逆で、世界のいたるところで試せる(=味わえる)のがITサービスの特徴です。そこに先進国や途上国はありません。インターネットにつながれて、文字が読める人なら、試そうと思えばいつでも手が届きます。スタートアップ企業のCTOで、上の条件を満たせない人は、ほぼいないでしょう。 【ラオス】イーサリアムの技術をつかってバナナをトラッキングするBananacoin Blockchainを手がける開発会社がガンガ

ガラパゴス諸島と日本

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ガラパゴスゾウガメ 以前から「日本はガラパゴス化している」と言われている。それはその通りなのだろう。ご存知のとおり、ガラパゴス諸島は絶海の孤島として太平洋に浮かび、各種大陸から孤立するがために独自の生物進化がみられるところである。ガラパゴスゾウガメ、ガラパゴスイグアナ、ガラパゴスペンギンなどなど、他の地域には見られない進化をとげた動物や植物が存在する。 そんなガラパゴス諸島は、いま非常に微妙なバランスで成り立っている。外来種の問題である。数多くの人間がガラパゴス諸島に訪問することで、犬や猫をはじめとした多種多様な外来種が持ち込まれた。これらが、ガラパゴスで独自進化をとげた動物を絶滅の危機に追いやったのである。 減少をつづけるガラパゴスゾウガメ そこで現在は、保護団体や学術団体が必死に外来種の駆除や数の調整を行っている。しかし、目に見えない細菌や植物(胞子など)は、駆除するにも難易度が高い。 つまり、独自進化という聞こえは良いが、ガラパゴス諸島は人為的な保護がなければ成立しない、いわば「動物園」と化している。 あらためて「日本はガラパゴス化している」という表現にもどると、今後日本がどのような立場になるかが想像できる。 アメリカや中国、シンガポール、インド、オランダ、ドイツなど、多種多様な企業が参入してくる市場には必然的に競争が生まれ、その競争の中でたくみに変化を続けた企業が生き残る。そして、競争が相対的に弱い市場にこうした外来種が参入してくると、在来種は駆逐されてしまう。 ダーウィンによれば、からなずしも強者が生き残るのではなく、変化に強い者が生き残るらしい。日本にも素晴らしい企業はたくさんあると信じている。しかし、変化の少ない市場で戦い続けることが、自然と変化への抵抗を弱め、外来種の脅威にさらされてしまう。 この脅威に対する対策は、①外来種を駆除するか、②在来種を進化させるかの2種である。10年前までの中国は①で市場の成長を待った。しかし、日本は発展後期にあるため、保護しても日本単独では成長が見込めない。つまり②一択である。 黒船とたたかうサムライ 確実に進化する薬があればいいが、そんな妙薬は絶対に存在しない。つまるところ、進化のためには変化の激しい市場に身を置くしかなく、業種によっては、それは日本以外の市場

デジタル植民地化する日本

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昨年の11月に開催されたSalesforce主催のイベント「dreamforce」。サンフランシスコの街をジャックするこのイベントに、多くの日本人が参加していた。 その多くは、日本でSalesforceの販売を手がけるパートナー。パートナーだから無料で参加しているのか?と思いきや、しっかり10万円の参加費を払っているとのこと。旅費と合わせれば1人30万円だそうだ。パートナーだからこそ、Salesforceのご機嫌を損ねたくないのだろう。 Google、Amazon、Microsoft、Ciscoといった巨大プレイヤーだけでなく、今やPaypal(決済)、Attlasian(プロジェクト管理など)、Trello(タスク管理)、Slack(コミュニケーション)、Zendesk(カスタマーサービスソフトウェア)、Marketo(マーケティングオートメーション)は、すでに日本企業でも採用が進んでいる。 YouTubeやフェイスブック、インスタグラムなどC系のサービスが注目される一方で、続々と海外のB2B系サービスが参入をはじめている。 ジャストシステム対マイクロ・ソフトオフィス、日系クラウドサービス対ドロップボックス、日本のモバイルOS対Android、、、過去、日系のIT系サービスは日本市場すら守れずに消えていった。 Cybozu、Uzabase、SanSanなどは海外展開に積極的だが、顧客の多くは海外に所在する日本企業が中心で、世界での認知度は圧倒的に低い。 過去、先進国は途上国の内戦に目を付け、一方に無償で武器を供給した。武器を借り受けた組織は、内戦の激化とともに宗主国への依存を高め、最後は重要な権益を差し出してしまう。多くの植民地はこうして生まれた。 日系企業は、あいかわらず国内市場の取り合いをしており、文字通り内戦状態にある。その中で、一部の企業は競争力の高い海外産のITツールを採用し始めている。 この流れに乗り遅れた企業は、海外産の武器の前にひれ伏す一方で、その武器を使う企業も徐々に蝕まれていく。企業の機密情報を預け、安価なコストで競争力ある武器を利用して戦う間に、その武器なくして戦えなくなる。 AWS、Google、Micorsoftに席巻されるクラウドにはじまり、この傾向は加速している。 「売ってあげている」