出資の基礎知識:その5|責任者ミーティング

出資戦略の作成ロング・ショートリストの作成初期コンタクトと進めてきましたが、今回は責任者ミーティングになります。

私が必要と思うステップの一つで、おそらく他のサイトや教科書にはこのステップは記載されていないと思います。責任者ミーティングを行わず、一気に社長間ミーティングということもあります。

では責任者ミーティングとはなんでしょうか?

責任者ミーティングとは、出資チームの責任者と先方の社長や責任者間のミーティングになります。目的は、双方企業内容の理解と出資可能性の確認になります。

責任者ミーティングの重要性

責任者ミーティングは、双方が出資に真剣な関心を持ち始める段階で設定されます。このミーティングを通じて、出資チームの責任者は案件についての理解を深め、トップ管理職に対して説得力のある説明ができるようになります。また、売り手にとっては、買い手の真剣度を測る良い機会となります。

「はしごの定石」と交渉役の役割

ここで、「はしごの定石」という私が自作した戦略についてご紹介しましょう。この戦略では、交渉の進行に伴い、交渉役Aと交渉役Bの役割が順序立てて変化していきます。最初は部下がハードな提案を行う交渉役Aを担い、上司が妥協を行う交渉役Bを担います。この段階では、交渉役Aが議論を主導し、交渉が膠着した際に交渉役Bが介入して妥結を図ります。しかし、次第に相手方は交渉役Bの方が意思決定に影響力を持っていると認識し始めるため、このタイミングで交渉役Bが交渉のリードを始めます。その後、新たな交渉では、前回の交渉役B(妥協役)が交渉役A(ハードネゴシエーター)となり、その上司が新たな交渉役B(妥協役)として加わります。

はしごの画像
はしごの縦の部分が御社と相手の会社、横の段が交渉役のつながりです。はしご(交渉)を登っていくたびに役職があがります。この横の各段において、自社の交渉役を相手の上の役職とつなげられるかが鍵になります。

この戦略の鍵は、交渉の初期段階で、極力相手方の高い役職者に対し、自社の比較的低い役職者を交渉役として配置することです。しかし、これは決して経験不足のメンバーを前線に出すことを意味するものではありません。出資に関する知識と経験を持ちつつ、役職レベルが低めのメンバーを選定し、交渉のフィールドに立たせることが重要です。これにより、交渉の度に経験と知識が蓄積され、組織全体の交渉力が向上します。

ミーティングの準備と内容

責任者ミーティングにおいては、相手方との適切なマッチングと、具体的な話し合いの内容が重要です。ミーティングでは、出資の背景・理由、相手方の懸念、今後のスケジュール、LOIの必要性、社長間ミーティングのタイミングなどが話し合われます。このミーティングを通じて、必要な情報を収集し、社内での意思決定に活かします。

まとめ

責任者ミーティングは、出資戦略において重要なステップです。このミーティングと「はしごの定石」を効果的に活用することで、各段階で適切なメンバーが適切な役割を担い、交渉を有利に進めることができます。また、このプロセスを通じて、相手方の組織構造や意思決定プロセスを理解し、それを自社の戦略立案や動きの予測に活かすことができます。

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