東南アジア進出前に確認すべき7つのポイント【非製造業編】

東南アジア市場は魅力的ですが、日本の常識を基に進出計画を進めると、高い確率で失敗します。特に、ローカル市場や現地国民をターゲットとしたビジネスモデルは、日本独特のビジネス文化と大きく異なります。今回は、そのような背景を踏まえ、東南アジアのローカル市場をターゲットにした場合に確認すべき7つのポイントを解説します。(現地の日本企業や日本人をターゲットにする場合は、本稿の対象外です)

進出計画で必ずチェックすべきポイント

  1. ニッチマーケットを選んでいるか?
  2. 競合単価との比較があるか?
  3. KPIが定めてあるか?
  4. KPI、KGI未達の際のバックアッププランがあるか?
  5. 現地法人ありきになってないか?
  6. 日本側のコミットメントがあるか?
  7. 10年の合計コストを見ても前に進められるか?

1. ニッチマーケットの選定

日本企業が東南アジアで事業を展開する場合、コスト面での競争力に劣ります。なぜなら、多くの日本企業は日本基準の福利厚生を提供し、高い人件費がかかる一方、ローカル企業はそれを最小限に抑える傾向があるからです。

日本企業の場合、雇用条件で日本語や英語を求めます。一方ローカル企業は、現地言語だけを求めるため、人財のコストに差が出ます。また、虚偽の雇用契約を作成し社会保険料を節約したり、雇用契約すら結ばずに即時解雇するローカル企業もあります。

そのため、コスト勝負を求められるマスマーケットではなく、ニッチな市場(例:Upper Middleクラス)を初期ターゲットとする戦略が現実的です。

2. 実現可能な販売単価

東南アジア市場での価格設定は、日本市場と大きく異なる場合が多いです。経営企画部が日本で作成した価格をそのまま適用すると、競合他社の価格戦略についていけません。したがって、競合の営業を受けてみるなどして実売価格を把握した上で、現地の市場に適した単価設定が必要です。決して「日本品質・ブランドなので高く売れます」という言葉で突っ走らないでください。

3. KPIと雇用戦略

東南アジアにおいては、日本とは異なり根性論は通用しません。明確なKPIを設定し、それを基に業績を評価する文化が求められます。また、目標達成に向けた毎日の行動目標をダッシュボードに可視化することで、健全な競争が生まれオペレーションがスムーズに進むでしょう。

4. バックアッププランの有無

海外進出は基本的にリスクが高く、初めての事業計画がうまくいくケースは少ないです。このような状況を考慮し、事前に複数のバックアッププランを用意しておくことが重要です。

特に事業ピボットの可能性が高いため、初期固定費を抑えておくなどのプランが実行的です。

5. 現地法人立ち上げのタイミング

現地法人を設立することはコストがかかり、一度設立してしまうと「もう少し検討しよう」という状態に陥りがちです。市場調査が十分でない状態での法人設立は避け、初めは現地企業との提携や出向など、低リスクでの市場テストをお勧めします。

具体的に現地法人設立により、賃料、経理関連費用、納税費用、規程類作成費用などが発生します。

6. 日本側のコミットメント

「現地の状況がわからないので…」という言い訳は、進出成功の障壁となります。自分の発言に責任を持ちたくない社員は、必ずこの言葉を枕詞に添えます。日本側もしっかりと情報を共有し、必要なアクションを決定する役割が求められます。

7. 10年計画

海外事業で収支を均衡させるには想定を超える時間がかかります。10年間の総コストを合計して、その投資を覚悟できるかを事前に問うことが重要です。どの会社も売上を過度に見積もりすぎるので、営業利益・損失の合計ではなくコストの合計を見てください。

その金額と他社をM&Aする場合の投資額と比べることをおすすめします。自ら立ち上げることにこだわりが強いのが日本企業の傾向です。

まとめ

以上が、非製造業における東南アジア進出の際に考慮すべきポイントです。これらのポイントをしっかりとチェックし、計画を進めることで、成功確率は格段に上がるでしょう。どのポイントも疎かにしないよう、進出計画を練る際には十分に検討してください。

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