エアバス訪問!エアバスの将来は霧の中?


休みを使ってフランスはトゥールーズまでエアバス訪問にやって来ました。目的はエアバスA380を見るため。あの、2階建ての巨大な飛行機です。A380自体はいつか乗れるとは思うのですが、ファーストやビジネスクラスとなると来世になるかも知れませんので、これを機にファーストクラスを満喫しようと思ったのです。

A380のビデオはこちら

トゥールーズ飛行場に隣接する見学場へは市内からタクシーで30ユーロ弱、20分程度で着きました。英語ツアーは週2日程度で、ツアーは2営業日前までに申し込む必要があります。ちなみに機密保持の理由から写真撮影は厳禁です。

A380の概要説明があった後、バスにのってはす向かいの工場に向かいます。しかし、工場見学とは言っても、工場の4階くらいにある窓から中を眺めるだけで、機体の近くに行けるわけではありません。巨大なタイヤやエンジンを直に見てみたかった僕としては、かなりショックでした。前日深夜3時までインターネットでエンジンの仕組みを勉強したのに。。。

その後は、またバスで見学場に戻りモックと呼ばれる機体(家で言えばモデルハウス)に案内されます。本物ではないため内装はちゃちなものです。しかも僕が夢見たファーストは何処へやら。

シンガポール航空A380の個室。今回は見れず。。輪廻している間にいつか乗れるかな。

こんな意味不明な部屋も見てみたかった。。。
残念なことだけかと言うと、そんなことはありません。むしろ意外な発見が山盛りで、結構楽しめました。いろんな説明や質問を通して感じたのが、かなり効率の悪い製造工程だってことです。説明によるとエアバスの簡単な工程は以下の通りです。

1.各部品をドイツ、フランス、イギリス、スペインにて製造
尾翼はドイツ、コックピット・胴体中央はフランス、主翼はイギリス、胴体下部のカーボンファイバー部分はスペインなど、エアバスの前身会社4社の拠点で製造。
 
2.各部品をトゥールーズへ輸送(3日3晩)
A380は巨大であるため、他の機体(A320など)で輸送に使っているエアバスベルーガは使えず、特注の船3台で運搬。各地からボルドーまで船で輸送後、トラックを使ってトゥールーズまで。 深夜に運ぶらしいのですが、その際は道路を封鎖するそうです。

「なんでトゥールーズ?もっと効率の良い湾岸に工場を作ったら?」と聞いたところ、過去の歴史と他の製造機体の関係からトゥールーズとのこと。A380は他機体の工程とは異なる新しい輸送工程を利用するため、必ずしもトゥールーズで無くても良いと思うのですが。

ちなみエアバスの機体は全てトゥールーズ製という訳ではなく、軍事機体はセビージャ@スペイ製、A3xx(忘れました)はハンブルグ@ドイツ製などとなっております。

3.機体組み立て@トゥールーズ
1機体につき2週間かかるそうで、昨年の出荷台数は20台とのこと。長ければ納入まで10年程度かかるそうです。10年の在庫待ち。200機近い受注状況を考えると、あまりに遅すぎるような。ちなみに、機体サイズも小さく製造がこなれたA320は6カ月から12カ月の納期のそうです。

4.テスト@トゥールーズ
テストは約8週間ほどかかるそうです。

5.内装&塗装@ハンブルグ
テスト後、A380はハンブルグまで飛んで行き、そこで塗りたくられます。塗装&乾燥まで約2週間かかるそうです。

6.購入会社によるチェック@トゥールーズ
機体を購入する会社は、パイロットや機体をチェックするためのエンジニアを連れトゥールーズまでやって来るそうです。そして2週間程度のチェックを行い、問題無ければ運転して持って帰ります。

飛行機は消費財とは一緒に語れませんが、製造工程に政治と既得権がしみ込んでいる感をぬぐい去れません。一部にムダと思われる工程を残してまでエアバスの前身会社4社を平等に使っている点、小型艦×多頻度運航が流行となるなかで戦艦大和を作っている点、リードタイムが長く市場予測に頼る度合いが高すぎる事 etc.を考えると、ちょっとエアバスの将来を不安に思います。機体製造は軍事に結び付くため政治の力が物を言いますが、政治の力だけで乗り切れるほど製造業は甘くないのではないかと思います。そう考えると、三菱重工のリージョナルジェットには大きな可能性が!ただ、日本の政治が三菱重工の足を引っ張らなければの話ですが。

明日はボルドーでワインを飲みまくって、難しい事を忘れたいと思います。


ビジネス・業界 ブログランキングへ

コメント

このブログの人気の投稿

MBA授業:1年目って本当に辛いの?

欧州MBAへの潮流は一時的?

海外MBA 受験:11.出願