ヨーロッパ経済危機

アイルランドの金融システムがついに破綻してしまいました。アイルランド国内の金融関連資産は同国GDPの998%に至ります。サブプライム以降の金融不安を何とかやりくりしてきたアイルランドもついに音を上げた形となりました。ニュースは連日のように怒りをあらわにするアイルランド国民を画面に映します。

その陰で慌てふためいているのが、ポルトガルとスペインです。ポルトガル国債とスペイン国債はドイツ国債に対し5%~7%のプレミアムが付いております。つまり、ドイツがお金を借りる際の利子に5%~7%程度を上乗せしないとポルトガルやスペインはお金が借りれない状態となっているのです。ギリシャ経済が破たんした段階で「次はポルトガルだ!スペインだ!」と叫ばれてきましたが、アイルランド破綻でマーケットはその発言に現実味を帯びさせています。

慌てふためいた両政府が何をしているかというと、政府予算の大幅削減や増税を打ち出し始めています。不安が不安をあおり、最終的に不安を現実化させてしまうのが経済危機の特徴ですが、各政府はその不安の火を消そうと必死です。しかし一方で火を吹くのが国民側で、ポルトガルでは今日から労働者によるデモとストライキが始まりました。スペイン国民が動き始めるのも時間の問題かと思います。

では本当にポルトガルやスペインが破綻する可能性があるのか、という疑問ですが僕には分かりません。しかし、スペインの金融資産合計額がGDP比328%に達し、失業率が20%を超え、カタルーニャやバスクといった自治州が独立運動を繰り広げ、貯蓄性向が比較的低いスペインでは大いに破綻はありえると私は勝手に思ってます。

破綻国の支援策において最も経済的負担を強いられているのがドイツですが、こう連続して破綻が生じた場合、ドイツ国民が何処まで支援に理解を示すか不明です。おそらくドイツ政府内ではEUにとどまる事の価値を再検討していると思われます。もし、ドイツがEU継続に消極的となった時、経済破綻国の悲劇は想像以上になるのではないかと考えます。今まで慣れ親しんだ贅沢な生活や発展国としての誇りを捨てることほど難しいものは無いですから。

日本も対岸の火事とは言ってられません。中国がアジア経済で中核をなしてきた以上、日本の破綻に対して他国がどこまで親身になってくれるか不明です。今回の危機は金融システムの破綻が引き金となり、国家の財政不安へと発展しました。日本に同じシステム破綻が起こるかは不明です。しかし、国と地方の借金残高がGDPを超えていると言われる現状を考えれば、消費税増税や医療費削減などを今すぐ実施すべきと僕は考えます。スペインでも「まずは無駄な国費を削減すべきだ!」とか「弱者切り捨てだ!」などの意見がありますが、破綻したら元も子もありません。労働組合が雇用確保や賃金確保を最後まで主張し続けた結果JALは破綻しました。そして雇用や賃金を失いました。残念ながら次は日本の番だと思います。


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