『ぼんくら』、『おまえさん』 宮部みゆき


自分が勝手に分けているのですが、過去の時代を舞台にした小説には歴史小説と時代小説があります。前者は、司馬遼太郎さんに代表され、いわゆる「史実」に基づいている小説で、『坂の上の雲』や『三国志』などが当てはまります。後者は、池波正太郎さんの『剣客商売』や山田風太郎さんの『柳生忍法帖』などがあります。厳密な分け方では無いのですが、時代小説ジャンルでは、僕は宮部みゆきさんが一番好きです。

大半の時代小説は男性の剣豪が中心に描かれており、比較的勧善懲悪な流れが強い感じがします。その時代ならではの善と悪をその時代ならではの方法によって裁くといったストーリーで、読んでてスカっとします。

一方、宮部みゆきさんの時代小説は、人ならではの善と悪をその人ならではの方法によって裁くといったストーリーで、読んでてほっこりします。善と悪を決めるのも、それを裁くのも人それぞれで、そこには時代による隔絶は存在しません。

剣客商売における秋山小兵衛にも人っぽさはありますが、恋愛や義理や困窮や社会的な存在価値など人それぞれが抱える内面世界は、比較的のっぺりとしてます。それに対し、井筒平四郎は、剣技も推理もさっぱりですが、そうした人の内面をクルクルっとこねていく技に長けています。

今回読んだ『ぼんくら』『おまえさん』も良いですが、僕には『あかんべい』が一番ほっこりします。

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