職場飲み会の価値

人間の価値観には3種類あると言われています。

1.Extrinsic Motivation (エクストリンジック モチベーション)
肩書、給与、学歴など、他者が自分に対して与える価値感に対して生じるモチベーション
例:「このプロジェクトを成功させれば昇進だ!気合い入れるぞ!」

2.Intrinsic Value (イントリンジック モチベーション)

好き嫌い、楽しい悲しいなど、自分の内面から湧き上がる価値感から生じるモチベーション
例:「大好きな外国文化に触れられるなんて最高のプロジェクトだ!」

3.Transcendent Value (トランシェンデント モチベーション)
自分以外の存在に対して貢献している事から生じるモチベーション
例:「 この子のためなら何だってやってやる!」

この3つのバランスは人それぞれで、1が重要な方もいれば、2だけが唯一のモチベーションという方もいます。私は上の分類をMBAで学んで以降、1つの目安として活用しています。

大企業において、昇進や給与は学歴や採用時の評価で決まっていたりするものです。このため、「これを成功させたら課長になれる」とか「今月これだけ打ったから月収100万円」というExtrinsicなモチベーション(1番)は生じにくいのが現状です。社員の心には、「頑張っても評価は変わらないんだよなぁ」というあきらめが、どこかにあるのです。

一方で、仕事でIntrinsicなモチベーション(2番)を満足させることも難しい状況です。好きな部署や好きなプロジェクトに行けるほど会社は甘くないですし、たとえ行けても1番のExtrinsic重視の上司だと価値観が合わず、逆にストレスを感じます。

私は大企業において3番のTranscendentモチベーションが最も実効性が高いと考えます。それは、「あの人があそこまで頑張っているのだから助けてあげたい」「あの人の言い方は嫌いだけど、人として好きだから手伝う」といったモチベーションです。東北復興支援のボランティアにあれだけの方が参加した事実を見ても、日本人のこのモチベーションは侮れません。

ただし、この3番のモチベーションに必須なのは「助けてあげたい」という他者への感情移入です。そして、それには「あの人だから」といった他者理解が必要となります。

昔は飲み会で無理やり酔わされ、自然発生的に素(す)をさらすことで、他者理解が進む文化がありました。しかしコンプライアンスが叫ばれる現在、こうした素をさらす機会は僅少となり、仕事の姿=〇〇さんの素となりつつあります。このため中々感情移入が起こりません。

そこで、これからは飲み会ではなく企業研修を活用してはどうかと考えます。研修と言う名においてチーム競技やチーム演芸などを行わせ、素をさらけ出させるのです。部長の馬鹿な所、部下の意外にしっかりしたところ、そんな素を見せ合うことで「あの人は憎めないし、一肌脱ぐか」となるのではないかと思うのです。

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