「フェルマーの最終定理」:久々の時間を忘れる一冊



素晴らしい1冊!

300年にわたり証明されることを拒み続けてきた「フェルマーの最終定理」に対し、数学に魅せられた人々がどの様に取り組んでは散っていったかがリアルに描かれた一冊です。

大学受験の時に「大学への数学」という雑誌で、僕はこの定理を知りました。「大学への数学」とは数学好きな人が、最新の数学事情を学びながら、大学受験に生かしていくという少々マニアックな雑誌で、問題も投稿も一般よりも高い所にあります。その雑誌に、東大の数学科の大学院生が「フェルマーの最終定理を解くのが最終目標です」とコメントを寄せていたのを覚えています。そして、僕の高校の友人も、この「フェルマーの最終定理」に魅せられて東大の数学科へ進みました。

そんな数学者を魅了してやまない定理ですが、猛者どもが「我こそは一番槍」と解決を目指すものの、ことごとく城壁から突き落とされ屍を積み重ねていきます。文字通り難攻不落の城。それでも、その積み上がった屍を足場に、さらなる高みに登ろうとして命を落とす数学者達。

数学理論というそれ自体何の価値を生むかも分からない対象物を、一生かけて追いかけ続ける先人の姿。そもそも解決不能なのではないかと自信喪失する数学界。人生全てをかけた努力が無駄と分かったときの失望と挫折。愛とか義とかでは語れない人間のロマンと狂気が詰まっています。

数学という狭い枠でこの本を拒否しないで下さい。久々に一気に読み切らせてもらいました。

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