アキレス腱断裂 ①

センターバックの僕は、左サイドの同僚からバックパスをトラップするため、バックステップを踏んだ。左からのプレッシャーをかわし、少し体は開き気味のバックステップ。

3歩目くらいだろう、ドン!と左足に衝撃を感じる。どっかから野球のボールが飛んできて、左足かかとに当たったのだと思い、後ろを振り返る。衝撃の感覚をたとえようとして、野球のボールを持ち出したのではなく、本当に当たったのだと思った。しかし、後ろには後輩キーパーが立っているだけ。

「あ、(何かを)やっちまった」と思いつつも、まずは足下のボールを右サイドバックにパス。その後、その場で左足を動かそうとする。しかし、思うように動かない。およそ1年前に左足の靱帯を痛めたときを思い出す。左足を引きずりながらゴールラインの外に出て、左足首あたりを触ってみると、そこに有るべきものが無い。そこで、おおよそ確信に変わる。「ああ、アキレス腱切った」

特段どうってことの無い動きだったし、準備運動も普段より充実したつもり。あまりのあっけない断裂に、チームメイトは完全にねんざと推察している。痛みもない。でも、左足は踏ん張りがきかず、つま先を伸ばすことが出来ない事実が、普通じゃないことを訴えている。

急いで近隣の整形外科をさがすと、ぎりぎり午前の部に間に合いそうな所が1カ所。タクシーを呼び、病院に滑り込むと「あぁ、これは完全に切れてるね」の一言。家が埼玉であることを告げると、通院は難しいという判断から、とりあえず電車に乗れるよう左足をギプス固定してもらう。土曜日午後12時半の話。

そこから自宅の最寄り駅まで1時間半の電車内では、ずっとスマホでアキレス腱断裂を検索。治癒方法は大きく2種で、手術か自然治癒。手術の場合、手術室が必要となるため、街の整形外科では対応不可。自然治癒の場合、ギプス固定のみでOKだが、再断裂の可能性が手術よりも高いとのこと。

土曜日のため、日赤病院などの大手病院は外来対応を行っておらず、とりあえず最寄りの整形外科に。そこでは、応急処置としてつま先を伸ばした形でギプス固定。1日で2回もギプス固定されるとは。この整形外科(上小町整形外科)、股からまるまる左足一本を固定しようとするため、「仕事に支障がある」と強く言い張り、5分ほどの交渉の後、膝下ギプスで落ち着く。今考えると、膝上固定を強要した整形外科はここだけで、対応に疑念を感じる。これが土曜日16時ごろ。

左足のつま先が伸びており加重が完全不可能なため、移動はすべて松葉杖の力に頼るしかない。これが異常なほど体力を削り取る。通常なら10分の移動に20分かかり、20分の移動で手首と腕がギシギシと悲鳴を上げる。仕方ないので、日曜日は家でゴロゴロし、インターネットでさらなる情報収集。

(つづく)

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