デジタル植民地化する日本

昨年の11月に開催されたSalesforce主催のイベント「dreamforce」。サンフランシスコの街をジャックするこのイベントに、多くの日本人が参加していた。

その多くは、日本でSalesforceの販売を手がけるパートナー。パートナーだから無料で参加しているのか?と思いきや、しっかり10万円の参加費を払っているとのこと。旅費と合わせれば1人30万円だそうだ。パートナーだからこそ、Salesforceのご機嫌を損ねたくないのだろう。

Google、Amazon、Microsoft、Ciscoといった巨大プレイヤーだけでなく、今やPaypal(決済)、Attlasian(プロジェクト管理など)、Trello(タスク管理)、Slack(コミュニケーション)、Zendesk(カスタマーサービスソフトウェア)、Marketo(マーケティングオートメーション)は、すでに日本企業でも採用が進んでいる。

YouTubeやフェイスブック、インスタグラムなどC系のサービスが注目される一方で、続々と海外のB2B系サービスが参入をはじめている。

ジャストシステム対マイクロ・ソフトオフィス、日系クラウドサービス対ドロップボックス、日本のモバイルOS対Android、、、過去、日系のIT系サービスは日本市場すら守れずに消えていった。

Cybozu、Uzabase、SanSanなどは海外展開に積極的だが、顧客の多くは海外に所在する日本企業が中心で、世界での認知度は圧倒的に低い。

過去、先進国は途上国の内戦に目を付け、一方に無償で武器を供給した。武器を借り受けた組織は、内戦の激化とともに宗主国への依存を高め、最後は重要な権益を差し出してしまう。多くの植民地はこうして生まれた。

日系企業は、あいかわらず国内市場の取り合いをしており、文字通り内戦状態にある。その中で、一部の企業は競争力の高い海外産のITツールを採用し始めている。

この流れに乗り遅れた企業は、海外産の武器の前にひれ伏す一方で、その武器を使う企業も徐々に蝕まれていく。企業の機密情報を預け、安価なコストで競争力ある武器を利用して戦う間に、その武器なくして戦えなくなる。

AWS、Google、Micorsoftに席巻されるクラウドにはじまり、この傾向は加速している。

「売ってあげている」はずのパートナーですら、1人30万円はらって機嫌をうかがう。これは植民地時代の幕開けと非常に類似している。

なぜ、日本のITサービスが世界で戦えないのか。次回は、この点を掘り下げたいと思う。


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