ガラパゴス諸島と日本

ガラパゴスゾウガメ
以前から「日本はガラパゴス化している」と言われている。それはその通りなのだろう。ご存知のとおり、ガラパゴス諸島は絶海の孤島として太平洋に浮かび、各種大陸から孤立するがために独自の生物進化がみられるところである。ガラパゴスゾウガメ、ガラパゴスイグアナ、ガラパゴスペンギンなどなど、他の地域には見られない進化をとげた動物や植物が存在する。

そんなガラパゴス諸島は、いま非常に微妙なバランスで成り立っている。外来種の問題である。数多くの人間がガラパゴス諸島に訪問することで、犬や猫をはじめとした多種多様な外来種が持ち込まれた。これらが、ガラパゴスで独自進化をとげた動物を絶滅の危機に追いやったのである。

減少をつづけるガラパゴスゾウガメ
そこで現在は、保護団体や学術団体が必死に外来種の駆除や数の調整を行っている。しかし、目に見えない細菌や植物(胞子など)は、駆除するにも難易度が高い。

つまり、独自進化という聞こえは良いが、ガラパゴス諸島は人為的な保護がなければ成立しない、いわば「動物園」と化している。

あらためて「日本はガラパゴス化している」という表現にもどると、今後日本がどのような立場になるかが想像できる。

アメリカや中国、シンガポール、インド、オランダ、ドイツなど、多種多様な企業が参入してくる市場には必然的に競争が生まれ、その競争の中でたくみに変化を続けた企業が生き残る。そして、競争が相対的に弱い市場にこうした外来種が参入してくると、在来種は駆逐されてしまう。

ダーウィンによれば、からなずしも強者が生き残るのではなく、変化に強い者が生き残るらしい。日本にも素晴らしい企業はたくさんあると信じている。しかし、変化の少ない市場で戦い続けることが、自然と変化への抵抗を弱め、外来種の脅威にさらされてしまう。

この脅威に対する対策は、①外来種を駆除するか、②在来種を進化させるかの2種である。10年前までの中国は①で市場の成長を待った。しかし、日本は発展後期にあるため、保護しても日本単独では成長が見込めない。つまり②一択である。

黒船とたたかうサムライ
確実に進化する薬があればいいが、そんな妙薬は絶対に存在しない。つまるところ、進化のためには変化の激しい市場に身を置くしかなく、業種によっては、それは日本以外の市場になる。

成長のための海外と位置づける日系企業が多いが、自国市場を守るための海外という現実がそこには存在する。

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