OHTANIが日本のITサービスを殺す

「日本で成功したから、次は海外に」

大谷翔平さんのようなスポーツ界や、任天堂や日清といった一部の産業などでは、よく聞くフレーズです。日本で成功してからメジャーに渡る、これが今やプロ野球界の常識です。しかし、この考えはITサービスにおいては非常に危険です。むしろ、害しかないと思います。


一風堂のラーメンは、味わうことだけでも難しい。パクるのはもっと難しい。

野球やサッカーはもちろんのこと、食品産業、コンテンツ産業などは、そのワザや味や著作権をマネすることは難しいため、サービスの競争優位性は維持されます。また、そうしたワザや味や著作権は、その国以外の地域から楽しむことが難しいのが現状です。

日本にしか『一風堂』がなければ、ベトナムでその味を楽しむことは不可能です。食べなければ、それが本当に美味いのかはわかりません。また、『一風堂』のラーメンは1回食べただけでパクれるほど簡単な味ではありません。本場『一風堂』のラーメンを繰り返し味わえる環境になければ、パクることのスタートラインにもたてません。たとえ、毎日食べることが出来ても、味という無形のものをパクるのは難易度の高いワザです。

このように、競争優位性がコピーしにくいモノやサービスは、日本での成功を待っても機を逃すことはありません。しかし、ITサービスは大きく異なります。


あじわうことも、パクることも簡単なITサービス。

現在、ほとんどのスタートアップ企業は、母国語化されていないサービスを使っています。Slack、Redmine、Zapier、Appear-in、Amazon Web Service、Google Cloudなど、英語のガイドを読みながらサービスを組み上げたり、プロジェクトを管理したりしています。

つまり、『一風堂』のラーメンとは真逆で、世界のいたるところで試せる(=味わえる)のがITサービスの特徴です。そこに先進国や途上国はありません。インターネットにつながれて、文字が読める人なら、試そうと思えばいつでも手が届きます。スタートアップ企業のCTOで、上の条件を満たせない人は、ほぼいないでしょう。

【ラオス】イーサリアムの技術をつかってバナナをトラッキングするBananacoin

Blockchainを手がける開発会社がガンガンでてくるベトナム


さらに、アプリやツールといったものは目に見えるものであるため、UIとUXを実際に試しながらプログラムを組めば、比較的容易に模倣品をつくることが出来てしまいます。ただし、Googleの検索エンジンやAmazonのレコメンデーションなど、特殊な技術や特許が含まれる場合や、UberやWeChat Payのように運転手や決済リーダーなどの物理的なヒト・モノが必要な場合は、ここにはあてはまりません。ここにあてはまるのは、ナビゲーションツールやコミュニケーションツール、タスク管理ツール、営業管理ツール、ストレージサービスなどです。


日本は電子マネー先進国だったのに、、、

ここまでの話のとおり、特殊性の無いIT系サービスは、どこでも試せて、パクられやすいという特徴があります。つまり、タイムマシーン経営が難しいのです。日本で戦っている間に、海外ではすでに類似サービスが生まれてしまい、日本を制覇した時には「時すでに遅し」となっています。世界に先駆けて始めた「おサイフケータイ」が、いまや中国の電子決済の後追いとなっているのがいい例です。

過去に飛ぶぜ!で行った先は未来....文字通りBack to the Future
では、どうすれば良いかということですが、私は①英語基軸化と②ペインポイントへの集中の2点が解決策と考えています。これについては、別の投稿で細かく説明します。

コメント

このブログの人気の投稿

MBA授業:1年目って本当に辛いの?

欧州MBAへの潮流は一時的?

海外MBA 受験:11.出願