出資の基礎知識:その3|ロングリスト・ショートリストの作成

はじめに

前回、「全体の流れ」と「出資戦略の作り方」について解説しました。今回は、出資戦略の中でも特に重要なステップである「ロングリストとショートリストの作成」に焦点を当てます。このステップは、一見すると単なる「作業」と見られがちですが、出資戦略の成功において非常に重要な要素が含まれています

ロングリストとは

重要性と目的

ロングリスト作成は確かに作業的な側面がありますが、このステップで出資戦略におけるギャップや不足が明確になります。ロングリストの重要性はその網羅性にあり、情報量よりも多くの候補をリストアップすることが重視されます。

情報の要素

私が推奨するロングリストに含めるべき基本的な情報は以下の通りです:

  1. 会社名
  2. URL
  3. 会社が提供するサービス・商品の概要
  4. 上場/未上場
  5. 時価総額(上場の場合)
  6. 出資戦略に定めた選定基準に基づく評価

追加で、創立日や住所、財務情報、株主構成などを含める人もいますが、これらはショートリスト作成時に詳細に調査する方が効率的です。

ツールとテクニック

私はChat GPTのプラグインを活用して、各企業の要約を簡単にコピー&ペーストします。特に100社以上の企業をリストアップする場合、ショートリスト化する際に、再度各企業の情報を調べ直すのは時間の無駄です。ロングリストを見ただけで、ある程度企業概要がわかるようにしておきます。

評価スケールの設定

出資戦略に定めた選定基準に基づく評価は、◯、✕、△や10点満点など、任意の形式で良いです。重要なのは、評価スケールとその意味を明確に記載しておくことです。100社近くになると、評価する日もバラバラになります。そうすると、後になって「なんで、この会社△にしたんだっけ?」と悩むことが増えます。また、後々の上司説明にも役立ちます。

ショートリストの作成

選定プロセス

ロングリストを元に、選定基準に基づいてショートリストを作成します。この過程で出資戦略に未考慮だった要素が明らかになることもあります。そのような場合、その要素を具体的に分析し、戦略に反映させることが重要です。

追加情報

ショートリストには、ロングリストの情報に加えて以下を追加します:

  • 財務情報(分かる範囲で)
  • コンタクト手法(どうやって、誰が、いつまでにコンタクトするか)

継続的な改善

リスト作成は一度きりではありません。戦略を見直し、リストも更新する必要があります。このサイクルを繰り返し、出資戦略を精緻化していくことが大切です。

ファイル管理

ロングリストとショートリストは、エクセルやGoogle Spreadsheetで作成することを推奨します。これにより、リストと戦略のバージョン管理が一元化され、後の作業が容易になります。

まとめ

ロングリストとショートリストの作成は、出資戦略において非常に重要なステップです。効率的な方法と注意点を理解し、戦略の成功に繋げてください。

コメント

このブログの人気の投稿

MBA授業:1年目って本当に辛いの?

欧州MBAへの潮流は一時的?

海外MBA 受験:11.出願