バルセロナは本当に財政難?(1)

バルサが財政難とよく聞きますし、先日ソシオ向けに送られてきたバルサのメッセージの中にも、「我々はキャッシュを必要としてる」と書かれていました。そこでバルサの財務状況が実際どんなものなのかを見てみたいと思います。といっても、選手との契約内容や各費目の計上方法など分からないことだらけである上に、公表されているデータが昨年版しかないため、推測を含めながら徐々に解明していこうかと考えてます。

まずは、ざっと貸借対照表の資産の部を見てみたいと思います。
(今後使う財務諸表は全て08-09年度のもので、バスケやホッケーなどの他のスポーツも含むFC Barcelona全体の財務諸表になります)
2009年6月末現在

資産の部で大きく目を引くのが無形固定資産(Intangible Assets)です。詳細を見てみると、サッカーチーム特有の事情が見えてきます。

“The costs incurred to buy players’ federation rights from other clubs and other similar amounts paid are capitalised as intangible assets and amortised on a straight-line basis over the term of the contract signed with the player, disregarding any residual value.”

いまいちFederation rightが何なのか不明ですが、おそらく移籍金かと推測します。そうすると、「移籍金については一旦無形固定資産に計上し、残存価値を考慮せず選手との契約年数に応じて定額償却を行う」と読めます。
 
従って、2008年の夏に入団したフレブは15百万ユーロの移籍金で4年契約であったため、08-09の財務諸表では約4百万ユーロが減価償却費として計上され、残りのおよそ12百万ユーロが無形固定資産計上されている形になります。従って、巨額の移籍金を支払ったとしてもその多くは無形固定資産に計上されるため損益計算書、つまりは当期利益をさほど傷つけません。しかし、移籍金は一括支払いされていると思われるため、キャッシュフローは大幅に悪化します。私が公開されている移籍金と契約年数から勝手に試算した結果、2008年の夏に獲得したダニエウ・アウヴェスの移籍金が大きいようです。
 
スタジアム等設備については25年~50年の間で定額償却されているようです。新スタジアムの建設を考えているバルサとしては、50年は長い気がしますが。
  
売掛金については、その多く(約89%)はテレビ放映権料や独占契約料のようです。売掛金の回収日数を計算してみると、  
134(売掛金)/{343(年間売上)/365日}≒140日
  
このままではこれが長いのか短いのか分かりませんが、前年度の170日と比べると改善しております。本来ならば他チームと比べたいのですが、財務諸表が見当たらりませんので、ここまでとしておきます。売掛金の分析は、負債の部を見た後にもう一回戻ってきたいと思います。
  
ざっくりと俯瞰しただけですが、移籍金のキャッシュフローへの影響とスタジアムの消却スピードは要チェックです。次は負債の部を見てみます。

続き:バルサは本当に財政難?(2) 


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