MBA授業:クラウドソーシング


今週はIESEのニューヨーク校舎でInternet Enabling Strategiesという授業をとりました。最終日にはCrowdSPRING社のFounderであるRoss Kimbarovsky氏が授業に来てくれました。CrowdSPRINGという会社は、ロゴなどのデザインを依頼したい企業(依頼主)と世界中のデザイナーとをインターネットで繋ぎ合わせる会社です。例えば新商品のロゴデザインをある企業が作成依頼する場合、まずウェブ上に依頼内容の概要と受託者への報酬が記載されます。その内容と報酬を見て、世界各地のデザイナーは独自にロゴを作成しCrowdSPRING社に提出します。一方提出された実物を企業は見て、その中から最終的なデザイナーを選び、デザイナーは報酬を受ける形になります。

企業は実物を見て選べる上、世界各地に広がる無数のデザイナーの知恵にアクセスすることが出来ます。一方デザイナーは、学歴や経歴など不問なため、プロからアマチュアまで幅広く応募することができます。

今後ますますこうしたクラウドソーシングと呼ばれる流れが加速していくことは間違いないでしょう。ただ、この分野では、まだ日本の企業は聞いたことがありません。比較的ではありますが、日本では過去の取引実績を重視し、顔が見えない人へ委託することへの不信感が強いためだと思われます。しかし、ネットワーク外部性(「ユーザーが増える→そのプラットフォームの魅力が上がる→さらにユーザーが増える」というポジティブなスパイラル)が強く存在するクラウドでは、先行者が極めて有利な立場となります。気付いたら出遅れていたでは大変なことになるので、日本の企業は海外拠点を使ってでもクラウド競争に飛び込む必要があるかと思います(海外拠点を使うのは、日本の商習慣がクラウドを受け入れるのに時間がかかりそうだからです)。

しかし、僕はクラウドに進むことイコール良い事だとは思っていません。安いから、大多数の知恵の恩恵にあずかれるからといって安易にクラウドソーシングに走ると、最終的に「うちの企業って何が強みなんだっけ?」ってなってしまいます。 自分でウンウン悩みながらデザインを練ることやプログラムを組むことが自分の成長を促すように、ある程度は自社だけで知恵を練っていく必要があるのでしょう。

そうは言いつつも、この授業の最終レポートをクラウドソーシングしたら楽だろうなぁと思っちゃう自分がいます。「世界中の誰か僕のレポート書いてくれませんか?1万円あげますよ」みたいに。


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