インターネットTVってなんだ?

Apple、Google、Amazonといった大手だけでなく、数多くのベンチャーが目を光らせている「インターネットTV」、何が魅力なのか良く解らないため、ちょっと調べてみようと思います。ブログを書きながら考えるので、いまいち首尾一貫しないかも知れませんが、御容赦願います。

Appleは今月11日にApple TVを、Googleは今年9月にSONYと提携してGoogle TVを、そしてベンチャー企業であるBoxeeは今月になってBoxeeを発売開始しました。いずれもハードと映像コンテンツ&インターネットを一体化したもので、オンデマンドで映像を提供するAmazon Video on Demandとは一線を画します。上記3社は、映像と呼ばれる映像をインターネット内外から収集することを特徴としています。メッシの映像が見たい場合は、FCバルセロナの試合(ケーブルテレビ会社による有料放送)からYouTubeの動画まで探してきてくれます。同時に、テレビをPCや携帯化するサービスも特徴と言えます。テレビにてTwitterを行ったり、ネットサーフィンをしたり、音楽ダウンロードを行ったり、アプリケーションで遊んだりといったところです。また携帯電話をリモコン利用できる点やPCや携帯と容易にシンクロ出来る点なども特徴です。端末価格は機能によって異なりますが、Apple TVが最も安価なようです。

しかし、何が新しいのでしょうか?長年叫ばれて来たテレビ放送とインターネットの融合が実現するかも知れません。しかし、依然「テレビにパソコンがひっついた」だけに見えます。

もちろんメリットはあります。テレビ放送波だけに限られていた情報範囲がインターネットにつながることで格段に広がることです。例えば、こんな生活が考えられます。

アマゾンで「スペインの歴史」という本を買ったとします。すると明日放送予定の「NHKスペシャル スペイン動乱」の情報が携帯にプッシュで通知されて来ます。同時に「恋するバルセロナ」の有料コンテンツもオススメされます。そして、「スペイン動乱」を見終わった後、テレビにはFCバルセロナ観戦ツアー情報が映し出され、その情報をクリックするとEXPEDIAのテレビ用アプリが自動的に起動する、といった具合です。

AppleはiTuneを通じてのコンテンツ配信収入を得ることが出来ますし、Googleは広告配信収入を得ることが出来ます。またコンテンツプロバイダーや視聴者もPCの小さな画面&低画質といった制約に縛られずに映像が楽しめます。一方、広告の方法は一変するでしょうし、有料放送間の視聴者争いは激化し既存テレビ局への打撃は著しいと思います。従って、インターネットTVが一定のインパクトを残すことは間違いないと思われます。

しかしiPodやiPhoneが作りだしたほどのインパクトがあるとは思えません。僕には気になる点が3つあります。

1つはテレビとパソコンの利用シーンの違いです。物理的にテレビを見る姿勢とパソコンを使う姿勢は異なります。体との距離も違いますし、視聴者の数も異なります。従って、コンテンツがテレビとパソコンを間をシームレスに移動したとしても、ユーザーが肉体的&精神的に両デバイス間をシームレスに移動できるかが不明です。首を下に向けて見るパソコンと、ソファーにもたれかかって首を水平にしながら見るテレビ、なかなか便利な融合サービスが思いつきません。もちろん、将棋アプリを大画面で行うとか、皆でYouTubeを見るとか、夫婦で旅行の計画を立てるとか、メリットはありますが、これは 「大画面」のメリットであって「テレビ」のメリットではない気がします。Apple TVだけ買えば、パソコンは不要かというとテレビでエクセルシートを作る気にはなりませんし、家族団欒の前で彼女にメールを打つ気にもなりません。これは情報入力側のインターフェースの問題とも言えます。

2つめは回線速度です。AppleやGoogleといった大手が参入して耐えられるほどの回線速度が利用可能な国・地域がどれだけあるか疑問です。またNet Neutralityの問題も解決されていません。回線速度のアップグレードは莫大な設備投資がかかるため、誰がそれを負担すべきかがクリアされない限り、この問題は付きまといます。

最後は法律です。放送業界は多くの国において国の保護下にあり、コンテンツへの規制が存在します。一方、インターネットとテレビが融合し始めると、お茶の間にインターネットが入り込んできます。必然、違法コピーコンテンツが増えるでしょうし、国境をまたいだ違法輸入コンテンツも増えるでしょう。ユーザーに良ければ良いじゃないかという意見もありますが、お金を取るべき人が取れない世界は長く続かないと僕は信じてます。

iTune Musicsは、1曲100円という破格な値段を出しながらも各プレイヤーに恩恵をもたらしました。音楽配信においてもNet Neutralityの問題は存在しますがコンテンツサイズが小さいため、大きな問題にはなりませんでした。しかしインターネットテレビは、ユーザー含めてまだWin-Winのエコシステムが出来上がっていない気がするのです。 無責任ながら、そのための方策は今思いつきません。しかし、もう一捻り欲しいところです。


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