日本的オペレーションの採用?

スペインにおいて食料品流通の1位はMercadona(メルカドーナ)というスーパーになります。カルフールなどの外資を引き離し、トップの地位を盤石としています。

IESEのケースで取り上げられることの多い会社なのですが、なかなか独特な会社のようです。ヨーカドーのようにプライベートブランドで差別化し、トヨタのような系列を作り上げているスーパーとでも言えるでしょうか。

「品揃えが良いから、ちょっと遠いけどスーパー『いなげや』に行こう」とか、 「『九鬼太白純正胡麻油』があるから、『吉池』に行こう」というのが1つの消費者心理です。バラエティでお客様を呼ぶパターンです。一方、メルカドーナでの消費者心理は「『メルカドーナ』には良い品があるので行こう』というものです。ブランドネームでお客様を呼ぶのです。

かなり当たり前に聞こえる戦略ですが、実際は結構難しい戦略です。野菜や魚介類ならば鮮度で勝負できますが、ツナ缶や油やヨーグルトなどの商品となると「良いヨーグルトがあるからあの店に行こう!」とは中々なりません。「ヨーグルトの品揃え豊富な店に行こう!」「ダノンが欲しいからカプラボ(別のスーパー)に行こう!」となりがちです。

メルカドーナは、特定のヨーグルト製造会社数社と超長期の独占契約を結んでいます。その契約内容にはメルカドーナによる定期的な工場点検やメルカドーナと同一の情報システムの構築などが含まれているようです。徹底した品質管理のもと、メルカドーナは、その会社のヨーグルトをメイン商品として扱います。製造会社側は求められた品質を保証しつつ、システムからの情報を基に生産を改善します。こうした契約を、ツナ缶、油など大量な商品に対して結んでいるのです。こうすることで「メルカドーナなら良い商品がある」ということを保証しているのです。 

ちなみにこの情報システムですが、契約製造会社はメルカドーナ従業員と全く同一の情報が見れるそうです。

もちろん、特定数社と独占契約することで品ぞろえは悪くなります。バラエティと言う点ではカルフールの方が良いかと思います。しかし、バラエティが少ない→在庫数が少ないという点において、これはメリットにもなります。また、統一情報システムを組むことで、流通過程における「ブルウィップ効果(Bullwhip Effect)」を排除できます。このため、安価に高品質の商品が提供できるのです。

話せば長くなるメルカドーナですが、今日訪れて見ると新しい変化が。肉売り場にトマトとパンと長ネギがおかれています。別コーナーでは、ムール貝の横にレモンが。

肉とトマトとワタシ~ 愛するあなたのため~♪

日本では見慣れた光景ですが、スペインでは珍しいのです。商品カテゴリーごとに陳列することはあっても、献立を考えての陳列は今回初めてみました。こんな新しい変化を持ちこむメルカドーナ、日本人の知らない優良企業と言えそうです。


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