MBA授業:ケーススタディとは

面接の時期が近付いているためか、学校についてちょくちょく問い合わせなどを受けたりします。みなさんに共通するのが「ケーススタディってどうですか?」という質問です。自分も来るまでは、ザクっとした感覚しかなかったので、質問したくなる気持ちが良く解ります。

そこで今回はIESEのケーススタディとはどんなものかをご紹介したいと思います。

授業の約8割はケーススタディとなります。1年生の場合は1日3コマ×5日が基本のため、1週間で12ケース近くを扱います。2年生になると選択科目制となり、科目に応じてケースの数は変わりますが、いずれにしろ2年間で大量のケースをこなすことになります。

ケースの対象は、マーケティングや戦略論、リーダーシップ、ファイナンスからアカウンティングまで多岐にわたります。 ケースってどんなもの?という方は、こちらのOPTIMAL DISTORTIONのケースを参考にしてみてください。マーケティングケースの古典とも言えるケースです。

ケースの分量は少ないもので1ページ、多いもので40ページほどになります。平均は15ページ~20ページといった所でしょうか。5~10ページほどがデータなどの付表であるため、英文は10ページ強程度のことが多いです。

ハーバードのケースが最も多く、その次にIESEのケース、あとはIVEYやDARDEN、INSEADのケースが良く見られます。

カバーする国や業種は様々で、日本のレストランチェーンからバレンシアのジュース会社まで、例をあげたらきりがありません。 無限といったところでしょうか。

マーケティングや戦略論なら分かるけど、ファイナンスやアカウンティングもケースで学べるの?という質問があるかと思います。大丈夫です、しっかりと学べます。僕の場合は、むしろファイナンスやアカウンティングにケースの相性の良さを感じました。両科目とも教科書を読んだり、授業を聴講すると何となく解った気になります。しかし、実際エクセルを立ち上げて手を動かそうとすると手が止まります。さらに、教科書の場合はどのデータを使うべきか明示してありますが、ケースの場合は大量のデータから何を選ぶかは自分次第です。従って、何が目的なのかが明確になっていないと、何を選んで良いのか途方に暮れてしまいます。

授業ですが、多くの場合は生徒に対する「お前ならどうする?」という教授の質問から始まります。生徒は、「僕ならこうする。なぜならば・・・・・・」といった形で答え始めます。僕が一番苦労したのが「僕ならこうする」という確たる意見を見つけ出すことです。現実社会では、どちらかの選択肢が絶対的に正しいということは稀です。現実社会を描写したケースも同じで、明確な答えはありません。しかし、自分なりの答えを見つけなければ決断ができません。

ケーススタディの場合、発言の量と質で成績が決まります。ペーパーテストもあるにはありますが、成績のほとんどは発言で決まります。従って、僕の発言に対し「お前の意見には反対だ。お前の意見にはこういうデメリットがある」という反論が飛んでくることは日常茶飯事です。ここで「うーん、それもあるよね。状況次第だよ(it depends)」と答えてはいけません。何とか自分の主張を補強します。ある経営決断をした経営者が株主総会で株主からの反論に会っているような状況です。 こうした反論が予想されるため、「自分ならこうする!」という意見を決めるまでに苦労するのです。

ケーススタディの場合、事前のチームディスカッションがもれなくついてきます。 これはハーバードが編み出した方式らしく、チームで議論してから授業に臨むことでケーススタディの質が高まるとのことです。大量のケースに対しチームで取り組むとなると、自然発生的にケース分担が生まれます。「来週のスターバックスのケースはお前で、ウォルマートはお前」みたいな分担です。基本的には全員が勉強してくるのですが、担当者は財務分析や戦略分析など、詳細分析をした上でチームディスカッションを引っ張ることが役割となります。

ケース準備&英文理解のため、僕は1ケースに対し平均2時間~3時間以上の時間をかけていました。担当ケースともなれば5時間以上かけた事もザラです。1日3ケースですので最低6時間~9時間/日を費やします。普通に計算すると、24時間を超えてしまうため、1年目は土日でのケース読み溜めをやりました。

発言回数少→成績低迷→キックアウトというプレッシャーに悩まされるケーススタディは、英語に引け目のある僕には辛い勉強法でしたが、その分学びは大きかったと思います。結果的には、クラスの中でも良い方の成績を残せましたので、人間何とかなるようです。

ケースについては、こちらの投稿もご参照ください

MBA授業:ケーススタディのための英語

MBA授業:ケーススタディについて(補足)


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