PCの常識はモバイルでも常識?

色々と忙しくて、結局GSMAワールドコングレスをじっくり見れませんでしたが、1つ気になったことがあります。それは、OSと検索エンジンというキーワードの重要性です。

パソコンの世界では、OSといったら最も重要なファクターでOSを支配するものがパソコンの世界を支配するとも言われていました。これはマイクロソフト帝国をやり玉とした議論によく見られます。また、検索エンジンもしかりです。インターネットビジネスが無視できない規模となる中、玉石混交のサイトの中から自社のサイトを際立たせ、いかに顧客を自社サイトに呼び込むかは会社の死活問題ともなっています。 今の世の中、それは詰まる所、いかにしてgoogle検索において上位にランクするか、AdSenseをどう活用するかという言葉に置き換わります。

このPCにおける議論が、現在モバイルの世界をも席巻しております。iOS、アンドロイド、RIM、シンビアン、Windows Mobileがしのぎを削る中、どのOSが勝ち残るかが最大の注目事項となっております。同様に、モバイルインターネットの世界を誰が支配するかについても、googleとアップル、ウィンドウズの3社が脚光を浴びています。

ずっと疑問を抱くことなく、自分も同じような視点を持っていましたが、最近少し「本当?」と考えています。本当にモバイルの世界でOSが最も重要なパートを担うのか、本当にPCのプレイヤーがモバイルを席巻するのか、という疑問です。

現在どれだけの人がOSを理由に携帯を選んでいるでしょうか。iPhone購入者の多くは、そのデザインと機能美に魅かれて購入しているのであって、iOSだから買っているとは思えません。もちろんiOSが提供する統一感などの魅力もあると思いますが、ノキアにiOSが載ったからといって、ノキアの売り上げが爆発的に伸びるとも思えません。

PCの場合は、アプリがOS選択に影響を及ぼすことが多々あります。今MacOfficeを使っている人であれば、次もMacを買って、持っているMacOfficeを再インストールするという考えは合理的に聞こえます。しかし、携帯の機種変更をする際に、どれだけの人が今のアプリを引き継げるかどうかを気にするでしょうか?FacebookやTwitter、WhatsAppなどは、iPhoneからBlackberryに変えても使えますし、新しくダウンロードすることになんの抵抗もありません。こうした点から、携帯でのOSがどこまで重要性を持つのかに疑問を抱くのです。

同時に、モバイルインターネットとPCインターネットは本当に同じでしょうか。近づくことは間違いないと思いますが、僕は「モバイルインターネットが遅れていて、先を行くPCインターネットに徐々に追い付き、最後は同じになる」という議論に疑問を感じます。この議論はあくまでもPCインターネットが最終進化系であることを前提にしています。現在、iPhoneやiPad上でアプリという小窓を通じて見るウェブもあれば、ケータイのフルブラウザを通じて見るウェブ、ケータイだけに特化したウェブなど、様々なウェブの見方が存在します。従って、被リンク数が重要性を握るPCウェブの検索方法が、モバイルでも最適とは言えません。さらに、モバイルでは位置情報や移動速度情報、過去の決済情報などを基に検索を精緻化することも可能です。こうした差があるなか、「インターネットはインターネット。みんな同じ。だからPC世界で鍵を握るgoogle、Apple、マイクロソフトが最強」と言い切ることに、なんともPC世界の傲慢さを感じてしまうのです。

FacebookやTwitterがインターネット世界のメインプレイヤー入りしつつある所を見ると、上述の議論が少々時代遅れの感もありますが、僕は、モバイル側から世界を変える会社が出てくることを期待しています。Appleがそうした会社の1つであることは間違いないですが、モバイル世界の特異性を生かしてPC世界に逆参入する企業が出てくることを望みます。


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