グアルディオラ監督に見る“自分のルール”

グアルディオラ監督の采配やコメントに2年間触れ続けてきて、グアルディオラ・ルールの様なものを感じるようになりました。これは、誰かが教えるものでは無く、経験の中から見つけた自分だけの物差しの様なものだと思います。

具体的には、次のようなルールです。
1.プロサッカーはファンが一番大事
2.次いで選手が大事
3.1と2を満たした上で、監督の仕事はチームを長期に渡り強くすること

どれもが当たり前に聞こえますが、もう少し細かい説明をすればグアルディオラ監督流のルールが伝わると思います。

1.プロサッカーはファンが一番大事
試合終盤に時間稼ぎをする、わざと試合を止めるようなプレーをする、ファンに対し失礼な態度をとる。こうしたネガティブな行為は絶対に許しません。また、メッシ
、イニエスタ、シャビといったスター選手のプレーを極力ファンに見せようとします。

昨年11月のスペイン国王杯予選セウタ戦、合計5-1で勝っているにも関わらず後半15分からメッシを投入します。試合後、グアルディオラ監督は「夜10時という遅い時間にも関わらず、スタジアムに足を運んでもらったサポーターにメッシを見せてあげたかった」とコメントしています。

この意識は代表戦にも影響します。数多くの代表選手を抱えるバルサとしては、極力代表での疲労を軽減したいところですが、グアルディオラ監督が代表招集に異を唱えた事を見た事がありません。これも全て代表を応援するサッカーファンのためだと思います。親善試合であろうとメッシの招集を受け入れます。

この点で違うのが、モウリーニョ監督、巨人軍な気がします。両者とも「勝利=ファンサービス」というルールを持っていると思います。しかし、この場合のファンとは、レアルファンや巨人ファンであって、サッカーファンや野球ファンではありません。従って、このルールを皆が持ち始めると、時間稼ぎやラフ・プレーが横行し始める危険が高まります。これは、監督の意思だけによらずチーム文化によるところも多いかと思います。

2.次いで選手が大事
この点は、モウリーニョ監督にも共通します。怪我している選手は絶対に使いません。昨シーズンの終盤でシャビが一部強行出場しましたが、これはシャビも言うとおり、選手からの強い直訴があったからのようです。怪我の危険があるならば、例え次戦がクラシコであろうと、チャンピオンズリーグ決勝であろうと使わない気がします。

3.1と2を満たした上で、監督の仕事はチームを長期に渡り強くすること
チームが金銭的に苦しければ相応の補強をし、若手選手を極力使うことで下部組織のモチベーションを上げる。 この点は、ベンゲル監督が最も重視している点かもしれません。上手く機能すれば、若手の抜擢→下部組織選手のモチベーションアップ→更なる選手層の拡大、と良い方向に進みますが、機能するまでの間は苦戦が予想されるため、バッシングに耐えなければなりません。かなり度胸のいる方針だと言えます。

全てが全て当たり前な事なのですが、いざという意思決定の瞬間に、明確なルールがあることで悩む量を減らすことが出来ると思います。そして、全ての決定に一本の筋が通ります。勝利追求を第一にするのでも良いと思いますし、美しいサッカーを追求するのも良いと思いますが、「ぶれないルール」が無いとプレッシャーのかかった瞬間の意思決定がぶれてしまいます。

自分なりのルール、経営の世界では経営者のビジョンとでも言うのでしょうか。明確なルールがあるから優れたリーダーになれるとは限りませんが、優れたリーダーは必ず持っている様に思えます。


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