ドコモのiPhone採用で日本の通信会社は衰退へ

ドコモのiPhone採用。ちょっと残念です。

市場が望む以上ドコモも採用すべきだと思いますが、ソフトバンクがiPhoneを採用した2008年からこれまでの約5年間、ドコモは何をしてたのか?なんだか、5年たっても何も変わってない気がします。だったら、何のための5年だったのか。

iPhoneが、通信キャリアにもっとも大きなインパクトを与える部分は「コンテンツプラットフォーム」と「課金」かと思います。

iモード時代は、コンテンツは『iメニュー』でカテゴリから探しだし、有料コンテンツを買うと(正確には『マイメニュー』登録すると)翌月の電話料金と一緒にコンテンツ代が引き落とされました。

今はどうか?

アンドロイドでコンテンツを探そうとすると、ドコモ契約者の場合は『dマーケット』か『Playストア』で探すのが通例でしょう。前者はドコモのコンテンツプール、後者はGoogleのコンテンツプールです。iPhoneの場合は、これが『Appストア』になります。そして、支払いは『Playストア』の場合はGoogleアカウント、『Appストア』の場合はiTunesアカウントに登録されたクレジットカードから引き落とされます。

ガラケーからスマホへのシフトが進むと、利用者は自動的にiモードの縛りから解き放たれ、PlayストアやAppストアといった選択肢に出会います。電話インターネットの世界から、本当のインターネットの世界にシフトするのです。

このまま放っておくとインターネットの覇者であるGoogleやアップル、マイクロソフトに市場を食い荒らされてしまいます。通信キャリアは対抗策を考えざるをえません。そこで、ドコモは『MUSICストア』や『VIDEOストア』といった動画や音楽コンテンツを用意し、アプリに重点をおく『Playストア』との差別化をはかります。さらに、ドコモは『dマーケット』を携帯電話会社に関わらず(auでもソフトバンクでも)利用できるオープンプラットフォーム化を進めます。つまり、本当のインターネットの世界で勝負しようとしたのです。

しかし、取り組みが中途半端なのかいまいちコンテンツが育ちません。つまり、『dマーケット』だから、『MUSICストア』だから、といった差別的なサービスが無いのです。

ドコモの6千万加入者といっても世界では20位にも入れない数です。一方、iTunes登録者はゆうに2億人(2011年現在で2億人ですから、今ではもっと多いでしょう)を超えています。コンテンツ保有者は、日本の6千万よりも、世界の2億人にリーチできるプラットフォームの方が魅力的です。アップルと契約すれば、2億人の利用者に自分のサービスを告知でき、料金回収までやってくれるのですから。

Googleには音楽や動画で対抗してきたドコモ。コンテンツ戦略が育ちきる前にiPhoneを採用しました。おそらくiPhone利用者は、使い慣れたiTunesで音楽と動画を楽しみ始めるでしょう。

2008年からの5年でソフトバンクは規模を求めてアメリカへ。一方、ドコモは日本で規模を求めるわけでもなく、コンテンツを増やすわけでもなく5年間を過ごしました。

こうやって、ドコモもNTT東日本、NTT西日本へと衰退していくのでしょう。

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