(書13−21)『悩む力』 姜尚中



大人になってから、いわゆる実用書と言うものに偏り始めた気がします。仕事の仕方やコミュニケーションの仕方、経営の仕方や財務諸表の読み方など。なんと言うか、味気のないものを読みあさっています。といいつつも、僕にとっては苦痛ではなく新しい学びであって面白いわけです。

ただ、この『悩む力』を読んで、実用書で得ている学びが、なにか表層的なものであることを感じました。マックス・ウェーバーも、ショーペンハウエルも今は遠い昔。そんな難解な本を、時間をかけて読むだけの気力が無くなっていることに気づいたのです。この本は、そうした事を主題にしてはいませんが、いつのまにか表層的な学びに偏っている自分を再認識させてくれました。

次の文章は筆者が青春について記した部分ですが、これは青春だけでなく読書にも当てはまる気がします。
「自分が生きている意味を考えたり、人間とは何かを考えたり、人とつながる方法を本気で考えたり、自分と世界の関係を考えてみたりする。実務的な問題解決を第一とし、万事を淡白にやりすごしている人は、『そんなことをマジでやるのは馬鹿馬鹿しい。時間の無駄だ。それこそ意味がない』と言うでしょう。しかし、そんなふうに生きていたら、たぶん、最終的にはもっと大きな孤独を抱えることになると思います。
他人とは浅く無難につながり、できるだけリスクを抱えこまないようにする、世の中で起きていることにはあまりとらわれず、何事にもこだわりのないように行動する。そんな『要領のいい』若さは、情念のようなものがあらかじめ切り落とされた、あるいは最初から脱色されている青春ではないでしょうか。」 
悩む力とは何か、1回読んだだけではつかみ取れませんが、久々のウェイクアップコールを喰らった気がします。最後に、もう1つ心にのこった文章を記して終わります。
「だれもが自分の城を頑強にして、塀も高くしていけば、自分というものが立てられると思うのではないでしょうか。守れると思ってしまうのではないでしょうか。あるいは強くなれるような気がするのではないでしょうか。しかし、それは誤解で、自分の城だけを作ろうとしても、自分は立てられないのです。
その理由を究極的に言えば、自我というものは他社との関係の中でしか成立しないからです。すなわち、人とのつながりの中でしか、「私」というものはありえないのです。」 
 

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