ピラミッド型大企業において無能管理職が与える致命傷を考える

ピラミッド型企業では、指揮命令は上から下に向かって順々に流れます。だからこそ部下は上司の顔色をうかがうのです。

しかし、実は上司も部下の顔色をうかがっています。近代では、すべての知識を完全に身につけることは不可能で、実務は特定の部下に委任されるのが普通です。従って、実務ができる部下をいかに囲うかが上司にとっては死活問題といえます。

問題は、そうした部下のパフォーマンスを無能な管理職は適正に評価できないということです。今月のハーバードビジネスレビューにありますが、評価者が理解できない項目においては被評価者は適正に評価されないのです。

たとえば『戦略的思考力』について部下を評価する評価者は、『戦略的思考』がなんたるもので、どれほどの価値があるのか深く理解している必要があります。しかし現実は、同じ被評価者の『戦略的思考力』に対し、十人十色の評価が生まれます。これは、人脈で管理職に上りつめたものや、学歴で評価されてきたもの、女性登用のために管理職任用されたものなど、そもそも管理職として必要なスキルを適正に積んでこなかった人材が多いことが一因と思われます。

しかし背景がどんなものであれ、管理職は一定の生殺与奪の権限を持ちます。いったん権力を握ると、その権力を維持しようと自分に都合のよい制度を構築します。自分の理解できないものを排他し、年功序列を擁護し、定量的業績よりも定性的業績を評価します。定量評価は否応なく実力を白日の下にさらすため、360度評価やチームワークなどの定性評価に重みを置くのです。

ここで、この問題を根深くするのは、こうした管理を行う管理職自身にその自覚が無いことです。むしろ、マネジメントに自信をもち、ことある毎に部下を下に見ます。あたかも、高齢議員が若手議員を下にみつつ、我が世の春を謳歌しているかのようです。こうして、すべての問題は先送りされ、無能管理職は会社をむしばんで行くのです。

こうした点において、外資系企業が持つ定量評価&up or out制度は一定の価値があるのだと思います。

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